心の育ち

 今までの幼児教育は善悪の規範を教え込んだり、いろいろな力を身につけさせることに重点を置いた「一方向的に教える」行為だったのだと思います。しかし本来、乳幼児期の発達を考えるとき、教え諭すことだけではなく、双方向的で相互主体性をもった働きに支えられた「主体的に学ぶ」という要素を大事にしなければなりません。その学びの始まりには「心の育ち」が不可欠なのです。 子どもの思いに向き合うことが育てるということです。
 子どもの思いを受け止めることを繰り返して、初めて子どもは心の存在を知ります。そして共感という相手の思いを同じように想像し同調する能力も学んでいきます。その蓄積が自分を肯定する「心の満足」につながっていくのです。