感情はひとにとって最も基本的な要素のひとつですが、これはおとなが教えればいいというものではありません。おとなのもつ感情が子どもの心に映し出され定着したものが、子どもの感情になっていくものです。具体的に言えば、言葉で「やさしさ」の大切さを伝えることよりも、子ども自身が「やさしさ」の経験するほうが人格形成につながるということです。
子どもは驚くほど敏感に心の動きを感じ取る能力を持っています。いくら言葉で飾ってみても、すぐに相手の心の状態を見抜いてしまいます。だから子どもに接するときのおとなの感情は大切なのです。
やさしさを育てるのはやさしさの感情で、憎しみを育てるのは憎しみの感情です。怒りも悲しみも接するおとなから子どもの心に映し出されます。そう考えてみると、子どもの育ちに必要なものは、豊かな感情を十分経験させてあげることではないでしょうか。